東亞合成研究年報26号

2023年01月01日発行

巻頭言

「無分別」のすすめ

新技術紹介

容易にナノ化できる「アロンフィブロ」の用途開発

セルロースナノファイバー(CNF)は植物由来の新素材として注目されているが、高価格や取り扱いの難しさなどが実用化のハードルとなっていた。これを解決するために、我々は簡単にCNF にできる酸化セルロース(アロンフィブロ)を開発した。
本稿では、このアロンフィブロの有用性を様々な用途で検討した結果を報告する。検討は水系用途(カーボンナノチューブの分散剤など)と非水系用途(ゴムの補強など)で行っており、どちらの用途でも有用性を見出すことができた。

UV-LED光硬化における深部および表面硬化性と光開始剤濃度の関係

光硬化の光源として UV-LED を使用すると、従来の高圧水銀ランプに比べて遥かに小型であるため、モビリティ分野をはじめとする様々な新しい部品の接着や封止が可能となる。しかし、LED の放射光は狭い特定領域の波長であるため、樹脂厚さが数 mm の用途で、光開始剤濃度が高い場合、深部が硬化不良になる。一方、光開始剤濃度が低いと、表面硬化性が、酸素による重合阻害によって悪化する。
本報では、このような実用的問題を、基礎理論の整理によって量的関係を含めて理解し、実験データによって検証した。深部硬化性を光開始剤濃度の点から評価する場合、吸光度が log e(0.43)の何倍であるかを考慮して検討することが有益であった。

ケミルミネッセンスアナライザーによる材料の劣化評価事例

一般に高分子化合物は空気中で熱や光を受けて酸化反応が進行する。このとき目に見えない極微弱な発光(ケミルミネッセンス)が生じることがわかっており、これを高感度で検出する分析方法はケミルミネッセンス法として知られている。高分子材料の酸化劣化は種々の方法で評価されているが、ケミルミネッセンス法は酸化劣化を鋭敏に検出できるため、耐候性試験や促進劣化試験、熱安定性試験などの評価方法として注目されている。
本稿では、高分子材料におけるケミルミネッセンス法の原理と特徴の説明、および極微弱な光を高感度に検出する装置「ケミルミネッセンスアナライザー」を利用した実際の測定事例をいくつか紹介する。

新製品紹介

フッ素/アクリル系グラフトポリマー「アロンGFシリーズ」

一般に、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系薬剤は、優れた撥水・撥油性を示すことから、表面改質剤として用いられている。このようなフッ素特有の性質を最大限に発揮させるために、当社のマクロモノマーおよびグラフトポリマー合成技術を駆使して、フッ素/アクリル系グラフトポリマー「アロンGFシリーズ」を開発した。さらに、グラフトポリマーの組成・構造を制御することで、撥水・撥油性、耐久性または潤滑性などの各種機能の両立化を実現できた。
本稿では「アロンGFシリーズ」の設計と機能について紹介する。

行動観察に基づく前腕支持歩行車の開発 - リトルターン Z -

アロン化成(以下、当社)は、介護する人と介護を受ける人が快適な生活を過ごすため、「安寿」ブランドで、『「やりたい」を「できる」に変えよう。』というブランドメッセージのもと、介護用品の開発に日々取り組んでいる。
本稿は、当社の「移動歩行」における主力製品である「リトルターン」シリーズとして、行動観察を活用し、潜在的なニーズを要求仕様として具体化した製品開発の取り組み事例となる前腕支持歩行車「リトルターン Z」について紹介する。

高速伝送基板向け低誘電性接着フィルム

最近、次世代通信システム(5G)に対応したスマートフォンや自動車が注目され、2030 年には 6G の本格運用も検討されている。これらに搭載される FPC も高周波対応が必要となってきており、低誘電率/低誘電正接の接着剤が求められている。そこで、当社は独自技術により、業界最高水準の誘電特性を示す接着剤「アロンマイテイAF-700 シリーズ」の開発に成功した。また、本製品は次世代基板として期待されているLCP、PFA、PTFE に対する高い接着強さを示し、レーザー加工性、はんだ耐熱性などの工程適応性も優れていることがわかった。
本稿では「アロンマイテイAF-700 シリーズ」の優れた特徴の詳細について紹介する。

技術文書発表一覧

技術文書発表一覧表(2021年10月~2022年9月)

編集後記

編集後記

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