研究開発トピックス

新製品開発事業部は、変化し続ける社会構造を見極め、顧客が直面する課題に解決策を提供することで、第4、5の柱を創出することをミッションとしています。特に、メディカルケア、モビリティ、バイオマス素材の3つの分野を注力分野とし、当社の「モノ」、「コト」、「ヒト」をつなぐフィロソフィーと、分子設計・配合・解析技術というコア技術を生かした新製品の開発を積極的に推進しています。

当事業部では、顧客視点を徹底し、持続可能な社会に貢献することを最優先に考えています。そのため、当社の研究開発部門、各事業部門、生産技術部門との緊密な連携を図りながら、革新的なイノベーションを追求しています。また、社外リソースとしてスタートアップ企業などのオープンイノベーションを積極的に活用し、広範な視点から迅速かつ効果的な課題解決を目指しています。

新製品開発事業部の役割図

TOPICS

メディカルケア部門で新製品を上市 止血材「アロンキュア」

当社コア技術を活用した独創的な製品を創出し、メディカルケア分野での事業化を目指しています。そのような当社のポリマー技術を活用できる素材として、2種のポリマーを特殊な製法でブレンドした新たな素材を導入し、「アロンキュア」として医療機器開発に着手しました。「アロンキュア」は生体組織への迅速かつ強い接着性をもち、血液の吸収性にも優れていることから、ユニークなコンセプトの止血材として開発を進めています。同時に、医療機器の製造/品質保証体制を整備し、医療機器事業への本格参入の準備を進めてきました。
その製品化第一弾として、抜歯窩で用いる創傷被覆・保護材「アロンキュア デンタル 」の 販売名で 医療機器 の 承認を取得(4月)し、2024年の販売開始を計画しています。本製品は、生体への優れた接着性により止血時間の短縮が期待でき、均一な品質と、高い安全性も特長としています。「アロンキュア」はフィルム、スポンジ、粉末などの加工も可能で、そのほか医療用途 や 化粧品用途 へ の 展開を進めています。

強力な保護力で瞬時に傷のケアが可能

新素材開発によりメディカルケア課題に貢献 抗血栓性コーティング剤

医療機器分野での次なるターゲットとして、抗血栓性コーティング剤に着目しました。ECMO(人工心肺装置)のような血液と接触する医療機器には、血栓が生じないように抗血栓性コーティング剤が使われています。従来は動物由来の高分子であるヘパリンが使用されてきましたが、感染リスクや供給安定性などから、近年合成高分子の使用が増加しています。代表的なものとして、非水溶性合成ポリマーなどが実用化されていますが、長時間使用での血栓発生、塗工可能素材の限定などの課題があります。当社では、九州大学・田中賢教授の提唱する「中間水理論※」に着目し、従来より優れた抗血栓性を示すコーティング剤を開発しました。さらに、ポリプロピレンやシリコーンといった医療機器で使用される難塗工性素材にも物理コート可能な改良を施し、体内医療機器および体外循環医療機器での実用化を進めています。

※中間水理論:生体親和性の高いポリマーがもつ水和構造に関する理論

コーティング剤「抗血栓性ポリマー」のイメージ

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