研究開発トピックス

新事業開発

新製品開発事業部は、未来を切り拓く革新的な化学材料の研究および開発に取り組んでいます。
メディカルケア、モビリティ、電子材料の3つを注力分野とし、顧客と社会に新しい価値を提供することを使命としています。当社が保有する、分子設計・配合・解析技術というコア技術を駆使して、斬新なアイデアの探索から最高品質の追求までを行い、顧客の高度な要求にも対応できる高付加価値製品を提供しています。
特に、顧客との密接なつながりを大切にし、迅速かつ的確にニーズに応えるオーダーメイドのソリューション提案を目指しています。当社の研究開発部門、各事業部門、生産技術部門などの多様な人財がチーム一丸となり、パートナー企業や研究機関との連携強化、オープンイノベーションを活用し、持続可能な社会の実現に向けて挑戦し続けます。

新製品開発事業部の役割図

TOPICS

止血材 アロンキュア

昨年、高度管理医療機器である二次治癒ハイドロゲル創傷被覆・保護材の製造販売承認を取得し、販売を開始いたしました。本品はポリアクリル酸をベースにした技術※を導入して開発に着手、有識者の方々の意見聴取を経て製品化が実現しました。血液や唾液などの水分を吸収して柔軟なハイドロゲル化するという特徴は、歯科領域における抜歯窩表面および浅部の保護を可能とします。今後も、販売開始後にいただいた医療現場の声を製品改良に活かし、患者および医療従事者
のQOL向上に貢献してまいります。

※Wispecs:高分子複合体の技術
 〈開発者〉
 小山義之博士
 (小原病院研究所所長・東京医科大学客員教授)
 伊藤智子博士
 (小原病院研究所副所長・東京医科大学客員講師)

適用例

 

粘着力による止血/保護(イメージ)

新素材でのメディカルケア製品の開発 EGCG結合ゼラチンスポンジ

ポリマー技術を用いた大学発の素材として、大阪歯科大学の本田教授と京都工芸繊維大学の田中教授が共同開発したEGCG※結合ゼラチンスポンジに着目しました。EGCGは緑茶から得られるカテキン群の1つで、多くの生理活性を持っていますが、貯留性が低く、生体外へ容易に流失してしまうことが課題でした。この課題解決のため、生体内親和性の高い高分子(ゼラチン)と複合化することで優れた機能性素材となることがわかり、大学との共同開発を進めております。今後は、再生医療への応用を目指し、止血材で培ったスポンジ製造ノウハウを活用してメディカルケア分野での早期製品化を目指していきます。

※ EGCG:(-)-エピガロカテキンガレート

 

モビリティ分野におけるカーボンニュートラルへの貢献 次世代電池用固体電解質

電池事業のさらなる拡大を目指し、全固体電池のキーマテリアルである高イオン伝導性固体電解質の検討を進めています。当社の広範な事業領域を基盤とした技術力を活かし、有機材料および無機材料の両方において、競争力のある固体電解質の開発に取り組んできました。有機と無機の電解質を組み合わせたハイブリッド型固体電解質は、空隙のない柔軟な薄膜を形成することができ、リチウムイオン伝導性において良好な性能を見出しています。2025年からは、量産プロセスの検討を本格的に開始するとともに、現在精力的に開発が行われている全固体リチウムイオン電池、および将来期待されている全固体ナトリウムイオン電池への適用を目指して、国内外で顧客開拓を進めていきます。

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